電子書籍端末では、水平方向・垂直方向ともにサッカードが1回のみ生じ、ページ終わりの文末から次ページの文頭へほぼ一直線に眼球が移動しています。

紙書籍においては、改ページ時に被験者間でページのめくり方に違いが見られました。
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 電子書籍端末では、水平方向・垂直方向ともにサッカードが1回のみ生じ、ページ終わりの文末から次ページの文頭へほぼ一直線に眼球が移動しています。このグラフは、ページ最終行の文字がページ下部で終わっている時の眼球運動です。ページの上部で終わっている時の眼球運動では、垂直方向に変化はなく、水平方向のみサッカードが1回のみ生じる傾向が見られました。このサッカードの生じ方は全ての被験者で見られ、電子書籍端末において同じ視線の動きで読書していることが示唆されました。また、被験者により改ページのために画面に触れる手やスワイプの距離に違いが見られましたが、眼球運動に関してはほぼ同一の結果となりました。
 紙書籍においては、改ページ時に被験者間でページのめくり方に違いが見られました。文章を読んでいる最中から指をはさみ、次ページを用意する動きや最後の2〜3行を読みながら左手でページを寄せて右手でめくった紙を迎えに行く動きなど様々なめくり方をしていました。また、改ページを補助する動きとして、ページの終わり頃になると指や手が動き始め、改ページ後に最初の行を読みながら紙書籍の位置や向きを安定させる動きが見られ、多くの被験者で改ページをしながら紙書籍を大きく移動させる動きが見られました。これらの動きは電子書籍端末では見られなかった動きです。すなわち、眼球運動については、電子書籍のような全体的な特徴は見られず、被験者の改ページの仕方により眼球の動き方が変化すること、ページのめくり方が大きく影響すること、また、ページをめくった際の紙の動きに目を向けることも多いことがわかりました。

電子書籍読書時の視線の動きの分析

本文へジャンプ 2016年2月2日 
近年、タブレット端末の普及が進み、電子書籍においても紙書籍と変わらないような見開きページ表示で読書ができるようになってきています。また、電子書籍の配信の数も増えてきており、電子端末上で読書する環境が整ってきました。読書時の眼球運動研究には長い歴史が存在し、様々な研究者が多様な測定方法を用い、有用な結果を報告していますが、電子書籍に着目した研究例は数少ないのが現状です。本研究では、電子書籍を見開き表示させた時の眼球運動を測定し、文庫本を読書した時の眼球運動と比較を行いました。その結果、電子書籍と紙書籍の間においてページめくりの動作に違いが見られ、眼球運動にも違いが見られました。電子書籍では規則的な動き、紙書籍では自由な動きが見られ、このことから紙書籍の読書は、電子書籍に比べ自由度が高く、読者依存であることが考えられます。

参考文献)高比良英朗、石川諒一、菊池慧、山田光穗:電子書籍と紙書籍の見開きページ読書時の眼球運動の比較、電子情報通信学会技術研究報告. IMQ, イメージ・メディア・クオリティ 113(350), 1-6, 2013-12-06 
 

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     改ページ時の眼球運動(電子書籍iPad mini)                    改ページ時の眼球運動(紙書籍)